1st Ticket

Not for theatergoers

PARCO「世界は一人」/一人

さみしくて、可笑しくて、近くて、遠い。
これは何だろう?「私」だったのだろうか。

 

自己愛と自己嫌悪を毛布にくるんで潜り込み、
真っ暗になりながら空や海を見通すような。


幸福に導かれない物語を、音楽がなだめて誤魔化すような。

 

世界は一人。色々な気持ちを思い出した。

一人ということは、それでもなぜか美しい。

 

 

「世界は一人」

 


mizhen「渋谷区神宮前4丁目1の18」/おわりちかづく

mizhen 裏参道フェス『おわりと、』


来週取り壊されるアパートの、最後の9日間に開催しているアートフェス。
表参道のアップルの角曲がった先でこんなことが起きてるなんて。別世界への突入感凄かった。
17日までで、開演21時の回などあり仕事終わりでも行きやすいのでぜひ。

 

mizhenの二人芝居「渋谷区神宮前4丁目1の18」は、
レトロな物件をリノベして可愛いギャラリーにしちゃった、みたいな見た目をしておいて、酸っぱさや苦味を混ぜて緑色になった、お化け屋敷のような仕上がり。
部屋も人物も、ちょっと可愛いけど死のにおいがして、怖みです。

 

奇遇なことが2つ。

 

作品に結婚式(のリハーサル)がいっぱい出てきますが、このアパートのすぐ裏に、数年前にめっちゃイベントの仕事してた結婚式場が位置しております。
もう潰れちゃったかな、とついでに見に行ったら、燦然と輝いてました。

 

あと、このアパートが取り壊されるのは18日で、私の誕生日です。
死んだり生まれたり生き延びたり生まれ変わったり、と、そういうことが目の前や隣や内側に繰り返される。静かな目まぐるしさと言いますか。死とか生とか、ふだん手触りを感じにくいものの気配が濃くなる良い夜でございました。

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【舞台の見方】#3 公演情報を探す

何かしら舞台を見てみたいが、

「どこで何をやっているのか、それをどうやって調べたらいいかわからない」という声をよく聞く。

 
そんな方は以下のメディアをチェックしてみてほしい。
 
<ステージナタリー>

非常に記事数が多く、ジャンルが広く、ニュースが早い。

私はSNSでフォローして、毎日流れてくるナタリーのニュースを見て「この公演は見なければ!」とビビッときたものをスケジュールや観劇(見るつもり)リストにメモっています。

プレスリリースを拾ったような端的な記事が多いので、ここで興味を持ったらさらに公式サイトや他の紹介記事を調べてみるとイメージが膨らむかも。

 

<しのぶの演劇レビュー>

http://shinobutakano.com/

演劇ライター・高野しのぶさんのサイト。
「今月のお薦め舞台」はサイト上でも見れますが、私はメルマガ登録しており、毎月「そろそろ観劇予定を立てなきゃ」と思い出させてもらってます。内容もすごい情報量と熱量。3000円台のお薦め、など予算も気にしてくれてるのが嬉しい・・・!
若干、テキスト重視の会話劇や社会問題を扱った作品に寄りがちですが、私も好きなので参考にしています。
 
<CINRA.NET>

アート・カルチャー幅広くカバーするCINRA。

特にメディアミックス系というか、著名な音楽アーティストが参加する作品や、アートフェス参加作品のピックアップ多め。

結果、演劇を初めて見る人でもなんとなく楽しめそうな作品が多く見つけられると思う。インタビューも複数ジャンルのアーティストを組み合わせたりしておもしろい。

 

<エントレ>

なんといっても動画が豊富!

とくにミュージカルの製作発表会やゲネプロでは歌唱シーンも公開されるのでありがたい。

あと運営は劇団☆新感線をかかえるヴィレッジということもあり、制作者向けのコンテンツもちょこっとあり。

 

<プレイガイド(ぴあ・イープラス・ローソンチケットなど)>

各種プレイガイドのTOPから、「演劇ジャンル」を検索する。単に公演一覧が見たいならこれが一番網羅的でしょう。

以下のような演劇特化コンテンツもありますが、注目する公演は似通ってきますね。。

 げきぴあ http://community.pia.jp/stage_pia/

ローチケ演劇宣言! https://engekisengen.com/

あと、週刊誌Weeklyぴあの復活として期待される「ぴあアプリ版」も今後充実していくかと。

 

<演劇キック>

 なんというか、雑誌の演劇ぶっくもですが、デザインが賑やか(笑)

作品というより、俳優や演出家など「人」に寄ったコンテンツが多いですね。

どちらかというと演劇を好きになったばかりの人が読んで楽しいメディアかな。

 

<CoRich舞台芸術
プレイガイドが一番網羅的とは思いますが、プレイガイドに委託しない小劇場系劇団も多くあり。そんな劇団がみんなお世話になっているのがこりっち。

これは劇団が情報登録して公演ページを作り、そこからチケット申込みシステムも安価で作成できることがメリット。つまり小規模な公演の情報が多く集まります。

あくまでも公演情報ポータルで紹介記事はありませんが、ユーザーのクチコミが多少参考になるかも?

 

***

 

まずはライトに初心者がアクセスできるWEBサイトを紹介しました。

また、一回公演に行くと、近しい公演(出演者の次回公演など)のチラシをいっぱい持って帰ることがあると思います。よく観劇する人はチラシのみで興味のある公演を見つけることができますね。

ただ、私はいろいろばらばらなジャンルを見てみたい衝動を常に持っているので、いろいろなメディアのSNSやメルマガをフォローしまくって、広く浅く流し読んでいます。(チラシはかさばるので「積ん読」状態になってしまう・・・)

 

最近悩んでいるのが、東京以外のエリアの公演情報が見つけにくいこと・・・

 

大阪に行くときはこちらを参考にします。

<Daily Fringe Guide Osaka>

こういったエリアごとのポータルは全て発見できていないので、要リサーチです。 

ダイアログ・イン・ザ・ダーク・アット・ホーム

初めて参加したこちら。

日帰りの大阪出張で、お芝居ソワレを見るには終電が早く
最後の17時の回に申し込んで参加した。

すると、一人だった!

不安だったらスタッフも入れますよ、と言われたが
せっかくなので独り占めさせていただこうと単身参加。

 

まず前室のようなところで、全盲の「アテンド」さんと出会い、説明を受ける。
触ることや声のコミュニケーションを意識的にしてみてください、など。

そして暗闇に突入。

まずは家の外のレンガ道を歩く。杖でかろうじてレンガの溝を感じる。
そして、家に入ると家族が待ってます、僕も家族ですと。
父母兄妹はなぞだが、アテンドさんと私は家族、という設定。
ここまで案内してくれたアテンドはヒデさん、家で待っているアテンドはけいちゃん。


家に帰ると、けいちゃんが温かく迎えてくれる。
和室にあがって、まったり。障子を開けると、かなり広い庭がある。芝生をなでる。
お正月の話をしあったり。おみくじを引いたり。(大吉・笑う闇には福来る、とのこと)
温かい甘酒をごちそうになったり。
もちろん全て見えない。が恐怖はない。私はそのまま寝そうなくらいリラックスしている。
そしてメインイベントの書初め
私が庭をうろうろしている間にけいちゃんが墨までセッティングしてくれていた。

「わ」と書く。書いたつもり。笑いの輪のわ。

終わって、前室でけいちゃんの姿を初めて見る。イメージ通り。
書初めも案外うまく書けていた。
ヒデさんのしてくれた動物園の話がおもしろかった。
パンダが見えるわけではないが、周りが「笹食べてる」「転んだ!」「落ちた!」と実況するので、パンダが何をしているかはよくわかるんだそうだ。だから動物園も水族館も楽しいと。

暗闇を体験するのはもちろんだが、家族を演じることが楽しく、
自分の家以上に、ホームな感覚があった。

何も知らない関係だからこそ、気を許せる瞬間ってある。

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【舞台の見方】#2 「舞台」にはどんなものがあるか(ジャンル)

舞台を見てみよう、と思ったとする。
それは、例えばどんな作品でしょうか?

 

初めて見る舞台が劇団四季だった人もいれば、
友達が出ている100席未満の小劇場演劇だった人もいるだろう。
舞台はあまりにも種類が多く、一言で括るには混沌としている。

 

「舞台」「芝居」「演劇」…混ぜて使いがちだが、
一番広義なのが「舞台(≒舞台芸術)」だとして。
以下のものは、すべて含まれうると考える。

 

●演劇(ストレートプレイ)
●ミュージカル
●ダンス
●オペラ
伝統芸能(歌舞伎、能、狂言、落語…)
●お笑い

●ほかパフォーマンス(朗読・リーディング、人形劇、ジャグリングやアクロバット…) 

 

この中でも特に多種多様なのが「演劇」「ミュージカル」「ダンス」で
しかもそれぞれの出演者やスタッフは横断して創作することもしばしばで、
「台詞」「歌」「ダンス」の混ぜ具合、割合すらマチマチ、
ダンスシーンを挟む演劇もあれば、しゃべるダンスもある。
「音楽劇」と名乗っている作品でも、歌のシーンはごくわずかということもある。
ジャンル横断が進む昨今、ますます明確な定義はなく、追求する意味もあまりない。

 

例えばミュージカル劇団として有名なのは「宝塚歌劇団」「劇団四季
さらに「レ・ミゼラブル」など長寿作品をプロデュースする東宝がある。
しかし小劇場で活躍する劇団「FUKAI PRODUCE」が標榜するのは「妙ージカル」、
劇団「ままごと」の代表作「わが星」は4拍子のリズムが核であり演技と音楽が融合している。

ラーメンズ小林賢太郎の作品はコントであり短編演劇とも見える。
歌舞伎役者と演劇の俳優が共演し、演劇の演出家がつくる「コクーン歌舞伎」「いのうえ歌舞伎」、さらに「2.5次元歌舞伎」も出てきたから、もう既存の枠組みはどんどん更新されていくのだ。


さながら「イタリアン×中華」すらありうる料理のよう。
「創作和食」と名乗る料理のバラエティをイメージしてもらえば、
「演劇」と名乗る作品の多種多様さがそれに近いだろう。