「だれも知らない建築のはなし」/絶望的な前向き
「だれも知らない建築のはなし」@シアターイメージフォーラム
やーこれは・・・
絶望的におもしろかった!
思ったよりわかりやすく、
70年代から次期オリンピックまで日本建築の動きをざーっとさらってる。
しかし想像以上に、みんな絶望してる!
国内外のジャーナリストが
「建築が社会を変えることはできない」と口をそろえる。
名だたる建築家が
「もはや建築家は必要ない。政治経済とコンピューターが建築を作る時代」と自嘲する。
「コミュニティデザインのトレンドは建築家を“従属的プロフェッショナル”に育てる」
「アーキテクトがいらない今、建築家はエンジニアであるべきか、テクノクラートであるべきか、アーティストであるべきか」
なんて話もおもしろく。
人を災害から守ったり、
人の動線を流したり呼び込んだり、
人を街を一番物質的に支配しているのは建築デザインのはずなのに、
もはやそのデザイナーたちが、影響力において情報デザインへの敗北を感じ始めているのではないかと。
全体通して日本の終末観すら漂う、後味の悪さ(笑)
でも、みな批判的なだけで、圧倒的に前向きでもある人種だなと、建築家の方々は。
もともとヴェネツィア・ビエンナーレの日本ブース用につくられた映像ということもあり、パンフレットも小品ながらなかなかアカデミックで濃い。
作品中に膨大な日本の建築が出て来るけども、そのアーカイブとしてもありがたい。
これを見たら、あれ、熊本に行かなきゃいけないなこれはという気になる。
ていうか建築ってそんなに九州がアツイの!というびっくり。
あとこれとか凄いね…
ほとんど知らないけど、なんか図表にされるとすごくワクワクするね!
シアター・イメージフォーラムのフェスティバル・ディレクター山下宏洋さんと、石山友美監督の対談も読みごたえある。
建築、と、映画、との接点
っておもしろい。
私は演劇畑から出て来て、特に劇場が好きでどうやら建築も好きで、
なにか建築には、今まで通ってこなかったけど、たぶん裏表みたいな
実はかなり親密なジャンルなんだろうと感じている。
空間をつくる
と同時に
時間をつくる
そして
人間の、関係性をつくる
というところとか?
かなり総合的・複合的で危険で本質的で役立つものだけど
美しくても、美しいだけでは残っていけない
制作者と客が、分断されている けど、 完全には無関係でいられない
というところかなあ。