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無隣館若手自主企画 vol.9 キムラ企画 「あっち無為て本意」

無隣館若手自主企画 vol.9 キムラ企画
『あっち無為て本意』 

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 『あっち無為て本意』|公演案内|青年団公式ホームページ

大学の後輩の木村くんの作品。
待ちに待ったアジアンリゾートへの旅行、そのホテルの一室で、カップラーメンを食べながら彼を待っている彼女と、お腹をこわしてトイレから出てこない彼氏、のお話。

いるよ…いるいる。さすが現役広告マンの木村くんだけあって、男子の属性が私の周りの人と近いのか(笑)「こういうヤツいるよね」感がいちいちウケルw
特に中盤「後輩男子」の口説き方とくだのまき方が超ツボ、めっちゃ見たことあるやつ…!

アフタートークを聞いてわかったのだが、「共感しやすさ」にこだわっていて、上演時間60分だったり、食事のシーンがあったり、見やすく見やすく効果のある演出だけを効かせてミニマルに、ということらしい。
「どういう状態だったらモノが受け取りやすいか?」という、いち観客としての自分の肌感を信じる、ところに頭のよさを感じるし、ねらった分だけ成功してる。
これを伝えたい!とか、これ面白いでしょ!とか、表現者としての主張がなくて、客観的にお客さんと一緒に眺めているような感じ。
同世代の演劇人と呼ばれる(呼ばれたい)人の作品では、どうしたって野心や表現したい欲が前面に出るので、それがないさらっとした見せ方はとても見心地がよかった。確かに観客への「負担」がほぼ感じられなかった。

何より、木村謙太の演劇への態度が事件だなあと思っている。

木村くんは27才、大手広告会社で営業をしているバリバリサラリーマン。なのに、2年前から平田オリザさんの塾『無隣館』に参加している、という変な優等生。
ストイックと欲張りをどっちも捨てない、ある意味での優柔不断さと、ある意味でのプライドや猜疑心、がある気がして個人的にもとても共感します。
『無隣館』でも何かの試験で1番だったらしいし。
命賭けて演劇つくったり見に行く人が1000人いてもいいけど、そうでなくとも熱心に片足つっこんでる人が100万人いたほうが業界は活発化するだろう、と思ってる私には、彼が評価されることはとても心強い。
ぜひまた活動してほしいなあと期待!