tagiruka「標本は重力を持ち得るか」
tagirukaという画家さんがお気に入り。
20日まで吉祥寺のアートギャラリー絵具箱で個展やってますのでお近くの方はぜひ。
「空に巣掻く」
「旅殻」
「熟れた果実は地に落ちて」
色合いや、空間の延びの感じ、空気遠近のふわもやっとしたところが好みで、
昨年渋谷のカフェで展示されているのを見てから追っかけています。
ああ、私はピンクの混じった青が好きなんだなとか、
建築の放射線が好きなんだなとか、
見ながら自分の好みに気づく感覚、ストライク。
『擬建築』を描いているそうで、その考え方もおもしろい。
(以下ご本人ブログより抜粋↓)
私が描こうとしていているのは「建築」であり「建築のある風景」を描いているわけではありません。
別の言い方をすれば「擬建築画」と言えるかもしれません。
擬建築とは私の造語で、擬人という比喩的な表現を建築を媒体として行う事を指します。
特に建築というものに人間性を強く感じており、描かれた建築群の向こう側には人の姿が投影されています。
欲望は塔を高くし、均質な空間は秩序をもたらし、己を守ろうと壁で隔たりをつくる、
そんな様々な人間の感情や欲望、心の機微を無機的な建築という器に写し取るような表現手法です。
「抽象画」「建築物を描いた絵」「心象風景」「建築をモチーフとした作品」など
様々な言い方で自分の絵を説明してきましたが、
もっとも端的に説明することが出来る言葉がないものかと考えて来ましたが、
「擬建築画」という言葉が今の所しっくりときています。
今現在、あらゆる建築形態の言語化、意味付けが出来ているわけではなく、
単純化することで明快に表現することを心掛けています。
絵の主題に合わせて意図的にコントロールしている部分を少し列挙してみましょう。
・ 垂直方向への展開、水平方向への展開
・ 面的な壁や床、線的な柱や梁、
・ 彩度やコントラスト
・ 視点の高さ、俯瞰や見上げの構図
・ 有形か無形か
・ 複雑か単純か
上記を主題に対して構成し描いています。
***
言われてみれば…そんな気もする…
感情とか概念とかふわもやっとしたものを、
人の表情とか言語的に解読できる表象じゃなくて、
気持ちや意味を持たない無機物質で表現できるなんて、おもしろいな。
青年団+第12演劇言語スタジオ「新・冒険王」/答えに意味はない
こちらの写真は2008年の「冒険王」。(撮影:青木司)
青年団+第12演劇言語スタジオ「新・冒険王」 観てきました。
イスタンブールの安宿、
2002年6月18日、
日韓のバックパッカーはワールドカップに夢中。
日本は既にトルコに敗北し、韓国はイタリアとベスト8を争っている。
これまで出会ったフィクションの中で一番、自分ゴトな作品だった。
2002年の日韓W杯は、当時15才の自分にとってもある転機だった。
あの時の日本中の熱狂と、ほどほどに盛り上がる家族を見て私は、自分が日本(人)にも韓国(人)にも特別な仲間意識がない、と気づいたんだった。
あれから、オリンピックやW杯はほとんど見てないしどの選手も特別応援しないことにしている。
平田オリザさんの戯曲は、国や民族に対するそれぞれの無知と感覚のズレを、精緻に描きすぎている。
サッカーに負けて落ち込む日本人、さっきまで応援していた日本代表をけなす日本人、
嬉しくて泣く韓国人、韓国のサッカーよりも日本のマンガが好きな韓国人、どっちにも好かれるけど味方もできない在日韓国人。
「韓国にとって、日本と北朝鮮では、どちらが仲間なのか」
「アメリカと日本では、どちらが仲間なのか」
「トルコと日本では、どちらが仲間なのか」
「どうしてそんなことにこだわるのか」
「なぜ応援しないのか」
「なぜ応援するのか」
「どうして日本人はすぐ忘れるのか」
「あんなに大人しいのになぜあんな残酷なことができるのか」
「韓国の男はなんでああなのか」
そんなことは、誰も知らないはずだ。
それぞれに違った回答。回答できないから拒否する。回答されても納得しない質問者。
本当に、国や民族の話になると、そんなことばかりで、
誰も、どんなに知識があったり愛情がある人だって、すべての歴史や感情を理解して、正確なたった一つの答えを持っている人なんていないし、そんなことはわかっているはずなのに、かるーく会話の中で質問してしまうのは、なんなんだろう。
私は、こういう質問の中にいるのにずっと疲れていたし、これから質問されるのも嫌だったし、ないとわかっているけど私なりの答えがほしかったんだ、と気づいたら、涙が出た。
劇中人物・ソヨンが、何も言わずに韓国人が熱狂するあの宿を出ていったのが、自分と重なった。
私もあの時、2002年に日本人宿を出ていったつもりだったと思う。
けど、無関係でいたくても、国籍やら民族観やらは一生あと何十回かかるく話題になるわけで、オリンピックは盛り上がり続けるわけで、世界中で日本人とも韓国人とも中国人ともアメリカ人とも出会うわけで。
どこに行こうと、だれかの国民感情と接触しないでいられる社会なんてない。
だから、劇中人物・植木のようでありたいし、今の自分は彼に近い気もする。
寝たいときは寝る。知らないことは知らない。
知りたいことは知ろうとする。友達になりたければなる。
今自分にとって興味のあること、相手に興味があるとしたら、それは誰にとっても正しい回答ではないけど、間違いのない、本当に起きている、意味のあることだ。
あと、「言葉が通じない」というのは全世界全世代に通じる、
人類共通のコメディなんだなと。
3か国語がいりまじって会話が通じない状況がすでにおかしい。日本語どうしだって、だいたいのことは通じてないんだから、笑える。
私たちは、理解しあおうとして、理解しあえてないけど、だからおもしろいし、何度でも会話してしまう。回答に意味がなくても、
意味のない質問の応酬に、
ただ耐え続け、色んな回答を得ることには、少しは意味があったし、これからもあるかもしれないと、やっと思えた。
こちらも、やや関連記事。
私は好き。すなわち、私はそっちに偏る。
「あの人の趣味は偏っている」という話が今日テーブルで出て、
(偏ってない趣味なんて、あるだろうか?)とふと思った。
考えてみたが、やっぱり、
すべての趣味は偏りである。
だから誰かの趣味が、他人より偏っているということはなさそうだ。
思い浮かべたのは世界地図で、
日本はヨーロッパよりも東にあるが、別の地図では西にある。
確かなのは、日本がヨーロッパより東か西かではなく、
少し遠いということ。
でも日本と南米ほどではないし、そしてヨーロッパからすると南米のほうが近い。
私から見て偏っているあの人、から見ると、私は偏っているし、
そうではない別の人、から見ると、私もあの人も偏っているし、
・・・というのを続けると、つまり全体から見た圧倒的な偏り、なんてない、と思える。
もしくは、「私がここに立っているから、全ての人は私から少し遠い」。
だから私は他人と同じく、圧倒的な偏り。
しかも人の好き嫌いや価値観なんて、
2次元や3次元でマッピングできるようなものではない。
赤か青なら、赤派
×
山か海なら、山派
×
春か秋なら、春派
×
右か左なら、左派
×
静かか賑やかなら、賑やか派
×
コーヒーか紅茶なら、紅茶派
×
仕事か恋愛なら、仕事派
×
・
・
・
の掛け合わせが無限に続いた高次元の世界に、趣味、というか「好き」のポイントはある気がする。
そしてミスチルが好きだったり村上春樹が好きだったりゴッホが好きだったりして、
ときどきある角度から近い人数がすごく多かったりするかもしれないけど、
それは趣味の偏りがない、ってことではないし、
やっぱり、全く同じ「好き」のポイントに立つことはできないと思う。
その人はその人だけの好きの方向に、向かってはいる。
「あの人は偏っている」と思うことは、
自分がその逆側の遠いところにいるのを知ること…
自分の偏りに気づくチャンスなのかもしれない。
NEWシネマ歌舞伎「三人吉三」&ナショナル・シアター・ライブ「スカイライト」/映画館で舞台見る=チケット約80%OFF!!
チケットぴあやイープラスで『ライブビューイング』をお気に入り登録していると、アイドルのLIVEやアニメ系(2.5次元)舞台などのお知らせがバンバンとんできます。
チケット取れなかったコアファンや地方ファンにとってはリベンジのチャンスだし、
「一回観てみたいかもな、そういえば」程度の人にもとっつきやすくてオトクな、舞台中継。じつは頻繁にやっている。
(ちなみにコバーンのドキュメンタリーも見たい。)
生中継ではないですが、近々舞台系で注目の2プログラムが映画館で見られます!
見逃すところだった!
演劇情報サイトなどフォローしてても直近の上映情報は入ってこないので、みんな落としがち!もったいない!
2014年6月上演された、コクーン歌舞伎・第十四弾。
演出は20年間演劇と歌舞伎の融合に取り組んでいる串田和美、
三人の吉三を演じるのは中村勘九郎、中村七之助、尾上松也。
上演時はチケット即完売。見られなかった!見たい!
“かつて無い「シアトリカルムービー」”だそうで、ナマで観た人も観てない人も楽しめる映像作品になるように新たな演出・編集を加えたり、舞台袖からのカットなども含んでいるらしい。
要注意なのは、舞台では約3時間半の作品を2時間15分にしていること。
なのでカットされたシーンもありますよと。でも歌舞伎だし、きっと大丈夫。
6月27日~新宿ピカデリー、渋谷ル・シネマ、ほか全国映画館にて。
7月10日あたりまで?
■ナショナル・シアター・ライブ「スカイライト」
これは昨年「リア王」を見たんですけど、たいへん良かったです。↓
今年もいつの間にか始まってた!去年評判だった「ザ・オーディエンス」を2回連続で見逃してしまった。。
なので「スカイライト」観に行きます。
以下公式facebookより↓
ブロードウェイでリバイバル上演中の「スカイライト」が、上演している劇場Golden Theaterの興行記録を塗り替えました!大ヒット中でして、日本円にして約1億1千5百万円の興行収入になっています。そして、大人気舞台なので、チケットの平...
Posted by Ntlivejapan on 2015年6月22日
これは期待大!しかもトニー賞とってしまった!やばい!
前回「リア王」は上映最終日に行ったら満席(ギリギリ当日券買えた)だったので、
今回は念のため前売りとったほうがいいかも。
ちなみに前回NTライブを観に行った時に感じたこと「なんか見に来てる人のステータスが高そう」。(笑)
すごくツウな感じ。演劇オタクってわけでもなく、知識人っぽいというか?
でも私の隣にいた若者は一幕から爆睡していたり。映画館て劇場より寝やすいよね!
そんないつもの劇場とは違うお客さんに会うのも私的には楽しみ。
7月3日~TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、ほか全国映画館にて。
7月8日まで!
ところで表題の件ですが、
「三人吉三」
上演時価格→1等平場席13,000円、1等椅子席13,000円、2等席9,000円、3等席5,000円
★上映時価格→一般2,100円!!
「スカイライト」
現地価格→約17800円(※時価)
★上映時価格→一般3,000円!!
まさかの80%OFFですよ!超オトク。
しかし意外と上映期間が短かったり、回数が少なかったりするのでお見逃しなく。
こまつ座「戯作者銘々伝」/井上ひさし×東憲司、第二弾ノゾム!
こまつ座「戯作者銘々伝」
6月14日まで。
これ、めちゃめちゃ面白かったよ!!
井上ひさしさんの小説原作で、劇団桟敷童子の東憲司さんが作・演出。
桟敷童子といえば、十中八九、滝のように水が降ってくるので
まさか新宿高島屋7階の劇場で水降っちゃう?やっちゃうの?wってわくわくしてましたが水は降りませんでした(笑) でもほかのキレイなものが降ってきます!
わたしそういえば時代劇と落語好きなんだなって思いだした。
江戸時代の戯作者(黄表紙の作家だから、今でいうマンガ家に近いだろうか)たちのワイワイドタバタなごやかなお話、は想像どおりだけど、思ってたよりも作品と客席との距離が近い。
役も役者も言葉も、今生きてるかんじだし、ずっとお客さんに何か話しかけてる。井上ひさしさんに話しかけられてる。
蔦谷重三郎役・西岡徳馬さんの口上があまりに滑らかでぐっと引き付けられ、
山東京伝役・北村有起哉さんは泣きっぱなしで「揺れ」の表現力が圧倒的。
紅一点の新妻聖子さん、色っぽいし面白いし声きれいだし器用すぎ。
なんかわかりやすくていいお芝居見たなーって思えて、よかった。